金銅の鋲:折れ曲がったり焼けた30点出土 奈良時代の“もったいない” /奈良

6月24日17時1分配信 毎日新聞

 ◇再利用か
 奈良時代、平城京の宅地などが並んでいた奈良市大森町の溝跡から、金銅製の鋲(びょう)約30点が見つかった。正倉院宝物に使われているものとよく似たものも含まれていた。調査した同市埋蔵文化財調査センターによると、現在の画びょうのような形で、木製品の飾りや角の補強などに使われた。高級品の鋲などを再利用するための工房があった可能性があり、同時代のリサイクル事情を示す発見という。
 平城京「左京五条四坊十六坪」の西南隅の側溝跡から出土。数センチ程度の大きさで、折れ曲がったり焼けたものがあり、使わなくなった鋲を再利用するために集めていた可能性がある。正倉院宝物「黒柿両面厨子(くろがきのりょうめんずし)」などに使われているものとよく似た、6枚の花びら模様もあった。
 同センターの森下恵介所長は「奈良時代は、瓦など使える物は何でもリサイクルした時代。銅は貴重だったため、こんな小さな鋲でもとても重宝されたのだろう」と話している。【花澤茂人】

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