大崎事件 2次再審8月にも請求 「共犯者の自白 信用性はない」新証拠を提出へ

鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、タオルで絞殺したなどとして殺人と死体遺棄の罪で懲役10年の実刑が確定し、仮釈放も認められず満期まで服役した被害者の長兄の妻、原口アヤ子さん(82)=同町永吉=が8月にも第2次再審を鹿児島地裁に請求することが17日、分かった。弁護団は証拠や供述調書を再鑑定した結果、「共犯者の自白に信用性はない」などとする新証拠が得られたとしている。
 確定判決のやり直しを求める再審請求は、無罪の根拠となる「新たな証拠」が必要となる。
 
 弁護団によると、第1次再審請求とは別の法医学者に当時の遺体写真などの再鑑定を依頼し「絞殺あととされた首の線は影を誤認したもの」とする結果を得た。
 
 また、殺人、死体遺棄の共犯とされ、罪を認めた被害者の兄2人の捜査・公判段階の供述調書を心理学者が鑑定。「遺体を運ぶ場面などで共謀を裏付ける供述が不自然に少ない」などの結論も得たという。
 
 弁護団は、両鑑定を新証拠として提出し「原口さんと兄2人、死体遺棄罪で有罪が確定した被害者のおいの計4人は冤罪(えんざい)」と主張する方針。弁護団の鴨志田祐美事務局長は「原口さんは高齢。地裁に迅速な審理を求めたい」と話している。
 
 原口さんは捜査段階から一貫して事件への関与を否認。服役後の95年4月には「遺体に絞殺の痕跡はなく、側溝に転落した頸椎(けいつい)損傷が原因で死亡した可能性がある」とする法医学者の鑑定に基づき、第1次再審を鹿児島地裁に請求した。
 
 地裁は2002年3月、主張を認めて再審開始を決定したが、鹿児島地検が即時抗告。福岡高裁宮崎支部は04年12月に「法医学者の間で見解が異なり、絞殺のあとがないとは断定できない」などとして再審請求を棄却した。最高裁も06年1月、原口さんの特別抗告を棄却した。

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