大崎事件:「有罪のまま死ねぬ」 83歳・原口さん会見、2次再審へ決意 /鹿児島

79年に起きた大崎事件で、殺人と死体遺棄罪で懲役10年が確定、服役後に再審を求めている原口アヤ子さん(83)=大崎町永吉=が、第2次再審請求を前に17日、会見を開き「やっていない罪のまま死ぬことはできない」と再審請求にかける思いを切々と訴えた。原口さんは逮捕から一貫して関与を否定している。第2次再審請求は8月中の予定。

 事件は79年10月、牛小屋の堆肥(たいひ)の中で、義弟の中村邦夫さん(当時42歳)が遺体で見つかり原口さんと当時の夫らが絞殺したとして殺人と死体遺棄罪で、邦夫さんのおいが死体遺棄罪で起訴された。80年一審判決で原口さんを除く3人は懲役8~1年が確定。原口さんは81年、最高裁で懲役10年が確定し90年まで服役した。3人はすでに死亡している。

 鹿児島市の県弁護士会館で会見した原口さんは報道陣に「私は何もしていない。そうでなければ、何十年も無実を主張できない」と語った。原口さんは服役中「罪を認めたら仮釈放が認められる」と何度も言われたという。だが、関与を否定したまま10年の刑期を終えた。「私は何もやっていないのに刑務所で働かされ、悔しくて悔しくてたまらない」と振り返った。

 発生から30年以上が経過し、原口さん自身も83歳と高齢に。「無実の罪を晴らすまでは、体に気をつけて訴えていきたい」と再審へ意気込みを語った。

 原口さんは95年「絞殺の跡はなく、側溝に落ちた事故死の可能性がある」と再審請求。02年、鹿児島地裁は再審開始を決定したが福岡高裁宮崎支部が04年「新鑑定に有罪を覆す明白性がない」と、地裁決定を取り消した。最高裁も06年1月、特別抗告を棄却した。

 弁護団によると、2次請求では、法医学者や心理学者による、原口さん以外の3人の自白についての信用性を否定する鑑定書などを新証拠として提出する。【黒澤敬太郎】

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