「配り終わらなくて」郵便物をゴミ箱に捨てる 元アルバイト配達員を逮捕

郵便物を配らずに捨てたとして、警視庁高尾署は、郵便法違反の疑いで、東京都八王子市緑町の元アルバイト配達員、川田大祐容疑者(25)=懲戒解雇=を逮捕した。同署によると、川田容疑者は容疑を認め、「いつも時間内に配達が終わらず、残った郵便物を持ち帰ると上司や先輩に怒られるので安易に捨ててしまった」と話している。

 逮捕容疑は、昨年11月30日、同市下恩方町の賃貸アパートのふた付きごみ箱に、配達を担当するはがきや封書計237通を捨てたとしている。

 同署によると、同月25日に、川田容疑者が勤務する八王子西郵便局に、通行人から「道路の側溝に郵便物が落ちている」と通報があった。内部調査に対して、川田容疑者が「30日にも捨てた」と供述したという。 川田容疑者は「他にも数回捨てた」と話しており、同署が調べている。

民家に犬60匹、近所とトラブル 飼い主、殴られけがも

福岡県直方市の民家で60匹の犬が飼われ、鳴き声や悪臭が近所とトラブルになっている。今月になって飼育法をめぐり傷害事件まで起きた。苦情を受けた県は約6年前から、飼い主の30代男性に動物愛護法などに基づいて適正に飼育するように口頭で指導を繰り返してきたが、勧告や警察への告発まではしていなかった。

 事件は12月18日に起きた。狭い路地を挟んで隣に住む無職男性(73)が、自宅前の路上にいた飼い主の頭を鉄の棒で殴り、軽傷を負わせた傷害の疑いで、直方署員に緊急逮捕された。男性は朝日新聞記者と接見し、「殴ってしまったのは申し訳なかった」としながらも、「昼夜を問わない犬の鳴き声を何とかしてほしいと何度も訴えたが、聞いてくれなかった」と話した。

 容疑者男性は、隣家の犬の鳴き声対策で、約8年前から数十万円をかけて家の防音工事を行ってきたが、半年ほど前からは睡眠薬なしでは眠れなくなったと主張している。

 飼い主方の敷地は約700平方メートル。記者が実際に訪れると、敷地の周囲を取り巻くさくの内側や、庭に設置されたおりの中にいる犬が一斉にほえ始めた。室内からは無数の小型犬の鳴き声が聞こえ、シャッターの下りた車庫の中からも声が漏れていた。近所の住民によると、ピレネーやドゴ・アルヘンティーノ、ミニチュアダックスなど、10種類を超える犬がいるという。

 周辺には犬の排泄(はいせつ)物によると思われる悪臭が漂っていたが、地元の自治区長(57)によると、「飼い主方の排水溝から流れ込んだ汚物のにおいが側溝から出ている」のだといい、鳴き声とともに悪臭についても住民間で苦情が出ている。飼い主に対し、2年前にも注意したが、対策は講じられなかったという。
県嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所(同県飯塚市)によると、2003年12月に住民から「鳴き声がうるさい」「汚物が側溝に垂れ流しになっている」などの苦情が寄せられるようになり、動物愛護法や県動物条例に基づき、07年6月までに計8回、飼い主に口頭で改善を指導した。

 指導で改善されない場合、文書による厳重注意や勧告、警察への告発もできるが、そこまではしていなかった。この飼い主への苦情は計10件だが、昨年度以降は2件で、担当者は「苦情が少なかったため、指導にとどめた」と説明している。

 傷害事件の被害者となった飼い主は事件後、同事務所などの聴取に対して、60匹のうち33匹が自分の飼い犬で、1匹も狂犬病の予防注射を受けていないことも認めた。残りの27匹は預かり犬などで、予防注射の有無は不明という。その後、5匹に予防接種を受けさせ、今後も月に5~6匹ずつ受けさせることを直方市と約束。同事務所は「適正な頭数になるよう、今後も指導を続けたい」としている。

 飼い主は28日、朝日新聞の取材に対し、「話すことはない。改善はする」と話した。(中野浩至)

窓ガラス破損:2日間で70枚割られる 千葉・船橋の高校

7日午前3時5分ごろ、千葉県船橋市豊富町の県立船橋豊富高校(松本透校長、生徒数563人)で、巡回中の警備員から「校舎の窓ガラスが割られている」と110番があった。県警船橋東署員が駆けつけると、校舎南側の窓ガラスや教室の引き戸のガラスなど計20枚が割られていた。同高では6日も校舎北側の窓ガラス計約50枚が割られ、教室内に側溝のふたが投げ入れられていた。同署は器物損壊事件として調べている。

 同署によると、7日の被害は、屋外から約3センチの小石を投げ込んで窓ガラス2枚を割り、鍵を外して校舎内に侵入。1、2階の教室の引き戸のガラス18枚も割られていた。校舎内を土足で歩いた跡があった。同高は7日に3学期の始業式を迎えた。【駒木智一】

カスミサンショウウオ産卵 「アクア・トトぎふ」が成功

各務原市川島笠田町の県世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」が先月末、岐阜市産のカスミサンショウウオの産卵に成功した。岐阜市指定の貴重種で同館では2007年3月から保護の一環で飼育し、繁殖は初めて。

 主に西日本に生息するカスミサンショウウオは体長7~13センチで、県内の生息域は岐阜市、揖斐川町の2カ所のみとされる。環境省は絶滅危惧(きぐ)2類、県は1類に指定。岐阜市は条例で無許可の捕獲を禁じている。

 ふだんは山の落ち葉や腐葉土の下に隠れ、春先の繁殖期に止水で産卵するが、岐阜市内の繁殖地は駐車場を囲むコンクリート製のU字形の側溝内。不安定な環境で渇水や共食いなども懸念され、同館と岐阜高校自然科学部が保護目的に卵や幼生の飼育、放流を続けている。
 産卵したのは最初に保護した卵のうから育った個体。先月29日、黒っぽい卵が約40個入った直径5センチほどの卵のう1対を生んだ。通常の産卵期より3カ月早いが、水温や気温の変化を自然界に近づけたことが功を奏したという。

 同館4階で展示しており、1カ月ほどで幼生になり、3年で成体になる見込み。飼育担当の田上正隆さん(31)は「いつ絶滅してもおかしくなく、地域特有の遺伝子を守るための『再生産』につながる。今後も域外保全の形で種を守りたい」と話している。

 (久下悠一郎)