月: 2013年8月
ゲリラ豪雨から身を守ろう!今日から始めたいゲリラ豪雨対策
気象情報などない古代の日本人は、雨にまつわるたくさんの言葉を活用していた。晴れているのに雨が降るさまを「きつねの嫁入り」、夕立など短時間に激しく降る雨で雷を伴うと、神様が何かを伝えようと降り立つようだと「神立(かんだち)」という。また、一方は雨でもう一方では晴れている局地的な雨のことを「馬の背を分ける」ようだと表したり、古代の日本人にとって雨は、きつねや馬のようにとても身近な存在でありながら、時に神のような畏敬の存在であった。
そんな雨が、今、日本全国で「ゲリラ豪雨」となって猛威を振るっている。
7月18日、東北地方を襲った豪雨では、山形県西川町で24時間降水量が観測史上最大の249ミリを記録した。東京においても7月23日、目黒川を氾濫させたゲリラ豪雨が記憶に新しい。
「ゲリラ雷雨防衛隊2013」のサイト上では、2013年夏(7~9月)のゲリラ豪雨のピークが、8月上旬から中旬であることが発表された。サイトによると、「今年のゲリラ豪雨発生数は、全国的には昨年2012年より多くなり、全国平均では昨年の約3.5倍となる予想」とされており、「昨年同様、急激に発達する積乱雲により、道路冠水や浸水被害、落雷被害などが発生する可能性があるため、注意が必要」とのこと。
3.11以降、災害に対する防災意識は高まってはいるが、地震対策をしていても、ゲリラ豪雨に対する備えをしてない人も多いのではないだろうか? 備えあれば憂いなし。ゲリラ豪雨対策を始めてみよう。
まずは、「ゲリラ雷雨防衛隊2013」を参照して、エリアごとの発生回数、ピークがいつ頃かチェックしてみよう。
【北日本】
北海道120回前後(昨年36回)、東北170回前後(昨年32回)
8月前半に高気圧の勢力が弱まるため、ゲリラ豪雨が発生しやすくなり、この時期にピークを迎える可能性が。昨年は8月下旬から高気圧の勢力が強まり、ゲリラ豪雨も発生しにくくなったが、今年は昨年に比べるとゲリラ豪雨の発生数は多くなり、3~5倍程度となる予想。
【東日本】
関東甲信250回前後(昨年78回)、東海200回前後(昨年103回)、北陸160回前後(昨年41回)
今年は梅雨明けが早く、梅雨明け直後は高気圧が強まり、猛烈な暑さとなった。現在は、いったん高気圧が弱まってゲリラ豪雨が発生しやすくなっている。今後は再び高気圧が強まるタイミングがあるものの、8月前半にも高気圧の勢力が弱まり、ゲリラ豪雨が頻繁に発生するようになる見通し。その後、9月になってもゲリラ豪雨が多くなる日があるが、9月後半には台風や前線の影響を受けて、次第にゲリラ豪雨の発生数は少なくなっていくと予想される。東日本の中で昨年、ゲリラ豪雨の発生数が最も多かった東海地方では、今年は昨年の2倍程度になる見通し。関東甲信越地方で昨年の3倍、北陸地方で昨年の4倍程度の予想である。
【西日本】
近畿200回前後(昨年95回)、中国170回前後(昨年58回)、四国120回前後(昨年23回)、九州180回前後(昨年137回)、沖縄100回前後(昨年27回)
8月前半に高気圧の勢力が弱まり、ゲリラ豪雨が頻繁に発生するようになる見通し。その後、9月になってもゲリラ豪雨が多くなる日があり、9月後半には台風や前線の影響を受けて、次第にゲリラ豪雨の発生数は少なくなっていく見通し。西日本の中で昨年ゲリラ豪雨の発生が最も多かった近畿地方では昨年の2倍。また九州・四国地方では昨年は太平洋側を中心にゲリラ豪雨の発生数が少なかったため、今年は昨年の5倍程度。中国地方は昨年の3倍程度となる予想である。
全国平均を見ても、昨年より3.5倍の発生傾向にあるゲリラ豪雨。昨年は20数回の発生数だった沖縄や四国は、今年は100回を超える発生が予測されている。ダントツに多いのが関東甲信の250回前後。この地域に住む人は、普段からゲリラ豪雨対策をしておいたほうがいいだろう。
■マイ・ハザードマップを作る
豪雨の際、ふたのはずれたマンホールや側溝に落ちて犠牲となるケースが圧倒的に多い。自宅からの避難経路にあるマンホール、側溝、小河川などの危険箇所を確認しておき、危険な場所をマイ・ハザードマップに記入しておくことが大切。ちなみに、行政が作成しているハザードマップは、洪水が発生した場合に被害を受ける可能性がある地域を示すだけのものである。
■普段の雨の日の近所の様子をチェック
あまり激しくない雨の日に近所の様子を確認しておくことで、豪雨の際、水の濁り方や、小石や土砂の流れ具合などで土砂災害や鉄砲水に発展するかどうかといった異常見分けることが可能になり、早期自主避難の判断目安になる。
■自宅周辺の水の流れ、詰まりそうなところは掃除を
水害に備え、排水溝の清掃や周囲の片づけなど「防災大掃除」を定期的にしよう。その際、強風などで飛ばされる可能性のある物干し台なども、しっかり固定しておくといい。
また、ゲリラ豪雨は正確に予想しにくいため、発生予想のデータが1分ごとに表示されるアプリや、降雨情報をリアルな映像として表示するアプリなどに人気が集まっている。
■Androidアプリ『あめXMP』
高精度雨雲レーダ(国交省のXバンドMPレーダXRAIN)の画像で手早く現在の空の状況を把握することが可能。1分更新のレーダが突然のゲリラ豪雨発生を視覚的に表示。ゲリラ豪雨の発生特徴に着目したアプリ。
■iPhoneアプリ『アメミル』
強い雨雲の接近を通知し、また、カメラを通して降雨情報をリアルな映像として表示するAR(拡張現実)アプリ。「近づく危険な雨を視覚的にとらえる」という新体験を提供し、近年増加傾向にあるゲリラ豪雨対策に対応。2013年6月28日バージョン1.1リリース.
いきなりくる、予測不可能なゲリラ豪雨に際しては、ずぶ濡れて帰宅していた人も多いと思うが、高精度雨雲レーダによる1分更新の画像などをスマホに入れて携帯したり、Yahoo!の無料災害速報で事前に情報を得ていれば、ずぶ濡れ状態はかなり回避できるのではないだろうか? ただ、昨年よりも3.5倍に増えたゲリラ豪雨の発生数がかなり気になるので、日頃からマイ・ハザードマップを片手に住環境も水害対策をしておいたほうが、心配性の人は安心だろう。
(まりこ)