不安和らげ笑顔取り戻して

県立大1年の平岡都(みやこ)さん(19)(浜田市原井町)の遺体が広島県の山中で見つかった事件を受け、同市の子どもたちの心を和ませようと、雲南市木次町里方、飲食店経営村松憲(けん)さん(62)が3日、浜田市内の六つの幼稚園にショートケーキ計300個を届けた。同大の学生2人もボランティアとして駆けつけ、園児と楽しい一時を過ごした。

 同市内田町の市立美川幼稚園では、村松さんがサンタクロースの衣装でケーキを抱えて登場すると、園児から大きな歓声が上がった。園児たちは、村松さんらと一緒に「ジングルベル」の曲に合わせて踊り、もらったばかりのイチゴのショートケーキをほおばった。

 村松さんは高校生時代、豪雨で自宅が全壊する被害に遭遇。その際に受けた義援金の恩返しにと、1977年から毎年、クリスマスシーズンに、災害などの被災地の子どもやお年寄りらにケーキを届けている。過去には阪神大震災や新潟県中越地震の被災地にも届けた。今年は豪雨被害に見舞われた兵庫県佐用町や山口県防府市にも贈るという。

 村松さんは「事件で親御さんの心配も大きいと聞く。不安を少しでも和らげたい」と言い、一緒に参加した同大2年、的山菜々美さん(19)と森田望沙(みお)さん(20)は「事件の後だけに、サンタクロースと園児の笑顔に元気をもらえた」と話した。

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 一方、県警は3日も60人態勢で、浜田市原井町の県立大学生寮に近い同市杉戸町の国道9号バイパス沿いなどを捜索した。

 この日は、11月30日に平岡さんの靴と見られる黒いスニーカーが発見された側溝から、北東に約300メートル離れたバイパス沿いの斜面と、大学西側に隣接する「海のみえる文化公園」内を中心に捜索。雨の中、かっぱを着た警察官らが、胸の高さまである雑草を刈り払いながら、遺留品などを捜した。

 4日も50人態勢で周辺の捜索を続ける。

(2009年12月4日 読売新聞)

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