桜:地元シンボル倒れる 松山・東雲公園で植え直し /愛媛

◇「無事に根付いて」と願う
 松山市東雲町の東雲公園で、近隣住民らに親しまれてきた桜の木が根元から倒れた。樹齢約50年と公園内で最も大きく歴史があり、今年もちょうど満開で見物客らを楽しませていたところだった。同市は7日、木を生き返らせるために園内で植え直した。あふれんばかりに花を付けた枝は落とされたが、住民らは「無事に根付いて再生してほしい」と願っている。
 市公園緑地課によると、倒れた桜の木は約50年前の公園開設と同時期に園内の南端に植えられ、高さ約7・5メートル、幹周り約1・6メートル。6日朝、根こそぎ倒れているのを付近住民が見つけ、同課に連絡した。
 昨年3~8月の公園改修で、木に近い南側境界に側溝が設けられることになり、木が邪魔になるため、同市はいったんは伐採を検討。しかし住民から「切らないで」との要望があり、側溝にかかる南側の根だけを切って木そのものは現地に残した。また、それ以前から道路にはみ出す南側の枝は枝打ちされていた。同課は、枝打ちで重心が北寄りになっていたことに加え、南側の根がなくなったことが重なってバランスを崩した可能性があるとみている。
 7日午後、木は約2メートル北側に移動して植え直された。作業のため満開の花をつけていた枝はほとんど切られてしまい、近くに住む無職、今井重義さん(66)は「地元のシンボル的な木で、大勢花見客が訪れていたのに」と幾分、寂しそうだった。
 神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮では今年3月、樹齢約1000年の大銀杏(いちょう)が根元付近から倒れ、再生の試みが続いている。公園を管理する住民団体「東雲公園管理協力会」の日和佐秀逸会長(77)は「元気に再生して、みんなを喜ばせてほしい」と、松山でも植え直した木が無事に根付くよう、願いを込めていた。【中村敦茂】

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