10月17日18時2分配信 毎日新聞
03年7月に大村市で保険金目的に三男を殺害したとして殺人罪などに問われている元保護司、佐々木繁一被告(76)の第4回公判が16日、長崎地裁(松尾嘉倫裁判長)であり、佐々木被告は、警察の取り調べでいったん犯行を自白したことについて意に反したことをしたと主張。一方、県警の取調官は克明に自白状況を説明した。
公判では、逮捕直後の07年7月下旬に犯行を自白したことの任意性が争われ、佐々木被告は「取調官から『政治殺し』と何度も言われ、頭が真っ白になった。机をたたいたり、けられたりした」と述べた。自白状況は「覚えていない」とし、署名、押印した自白調書を翌日に見せられ、「絶望的になった」とした。
一方、検察側証人として出廷した取調官は「机をたたくなど威圧的行為はしていない。『政治殺し』と言ったこともない」と否定。
さらに、佐々木被告が容疑を認めた理由を、政治さん死亡前に書かれた政治さんの告別式の案内文書などを見せたためと説明。取調官は「(文書を見せると)しどろもどろになり、しばらく黙った後、ジェスチャーを交えながら政治さんを側溝に押し込めて殺す状況を自供した」と証言した。動機は「金がほしかった」と話したという。
佐々木被告はいったん自白した2日後、再び否認に転じている。次回公判は11月5日。【阿部弘賢】
〔長崎版〕