大村市の保険金殺人事件(2003年7月)で殺人、殺人未遂、詐欺の罪に問われ、一審長崎地裁で求刑通り無期懲役判決を受けた大村市東大村2丁目、無職で元保護司、佐々木繁一被告(77)の控訴審初公判が6日、福岡高裁(松尾昭一裁判長)であった。同被告は被告人質問で「罪悪は犯していない。実子も殺していない」とあらためて無罪を主張し、結審。判決言い渡しは12月10日。
父親が息子の保険金目当てに、報酬をちらつかせながら知人に「殺害依頼」を繰り返した末、自ら殺害したとされる同事件。一審では共犯者4人全員に実刑判決が下され、佐々木被告も無期懲役判決を受けた。共犯者が犯行を認める中、同被告の無罪主張を高裁がどう判断するかが焦点。
弁護側は控訴趣意書で、一審判決の事実誤認と、捜査段階での自白調書は任意性がなく、証拠能力がないとして無罪を主張。▽被告は右手が不自由で、当時26歳の息子を側溝に押さえ付けて水死させるのは困難▽経済的に困窮しておらず、多額の保険金を得る動機がない-などと訴えた。検察側は控訴棄却を求める答弁書を提出した。
一審判決によると、佐々木被告は03年7月1日、内田勝子受刑者(64)らと共謀し大村市の道路脇側溝で、三男で元新聞販売店従業員、政治さん=当時(26)=の顔を流水に沈め水死させた。ミニバイクの事故を装い保険金約1億4千万円を詐取。事件の約1カ月前にも4人と共謀し、トラックではねて殺害しようとした。