【北京=古谷浩一】11日付の北京青年報などによると、広東省広州市で9日、新型インフルエンザに感染して重症になっていた3歳の男の子が道路脇の側溝で遺体で見つかった。医療費の負担に耐えかねた両親が遺棄したとみられ、中国衛生省などが調査を始めた。
報道によると、男の子は気管支炎などを併発して同市内の病院に入院していたが、6日深夜に両親が病院の反対を押し切って退院させていた。1万9307元(約25万円)の医療費に対し、両親は1万3100元(約17万円)しか支払っていなかった。同市衛生局は、医療費が負担できなかったための退院だったとみている。
警察当局は両親から事情聴取を始めた。両親は退院後の3日間に何が起きたかについて、「知らない」との供述を繰り返しているという。
中国では医療保険制度が不十分で、医療費の負担の重さが問題化しており、中国各紙も遺棄事件を大きく取り上げている。衛生省幹部は11日に北京で開かれた記者会見で、広東省に調査を求めたことを明らかにした。中国での新型インフルエンザによる死者は326人に上っている。