久留米市発注の井堀ため池改修工事(同市高良内町)の現場から、ため池などにたまったヘドロが高良川に流れ込んでいたことが28日、分かった。高良川は、近くの高良内小児童たちが清掃活動に取り組み、川沿いの道が「日本ウオーキング協会」が選ぶ「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に認定されている。昨年はホタルも見られたが、住民からは「川がにごり魚がすめなくなるのでは」と不安の声が上がっている。
工事を担当する市農村整備課や土木建設業者(同市善導寺町)によると、ヘドロの流出が確認されたのは昨年12月。川で農作物を洗っていた農業者から「汚水が流れ出ている」と通報があり、担当職員が調査したところ、工事現場から約150メートル離れた瀬戸口橋付近から下流300メートルに渡り、川がにごっているのが確認された。
業者が、直後に川に堆積(たいせき)したヘドロの一部を取り除き、ヘドロが広がらないように同橋下の排出口付近に土のうを積む対策を実施したが、「その後も微量のヘドロが流出し続けている」(同課)という。
ヘドロは、業者が作業用水を工事現場から側溝を通して高良川に流す際に一緒に流出。市は工事前に業者に対して、ヘドロが流れ出ないように汚泥をためる「沈砂池」を設けるよう指導し、15平方メートル(深さ1・5メートル)の沈砂池が設けられたが、沈砂池がヘドロで埋まりあふれ出たという。
取材に対して業者は「住民に迷惑をかけたくないので、工事後に川をきれいにしたい」と説明。市は「汚泥対策は万全と思っていた。百パーセント、ヘドロを取り除くのは難しい」とした上で、工事が完了する3月以降にヘドロを取り除く原状復帰策を検討している。場合によっては発注額とは別に追加支出もあり得るという。
広木幸一・市農村整備課長は「上流では別の護岸工事もあっており、川のにごりがどこまでため池の改修工事によるものか証明するのは困難」と話している。
ここ数年、川で水遊びをする子どもたちの姿を見て楽しんでいたという近所の男性は「市はもっと注意深く監督するべきだった。原状復帰は当然だが、税金をさらにつぎ込まずに対応してほしい」と語った。
=2010/01/29付 西日本新聞朝刊=