県内で金属盗相次ぎ被害1200万円 価格上昇背景か

県内で金属類の盗難被害が相次ぎ、今年1~3月の被害総額は昨年1年分に迫る約1200万円に上ったことが、17日までの県警捜査3課への取材で分かった。世界的な金属価格の高騰が背景にあるとみられ、同課などは今後も同様の被害が続く恐れがあるとして警戒を呼び掛けている。

 同課によると、今年の県内の被害は3月末時点で48件。昨年1年間の71件、計約1300万円に比べ、件数は少ないが被害額は同規模に上っている。

 北信地方などで被害が目立つが、伊那署管内では3月1日から今月15日までに計8件と増加傾向にある。

 上伊那郡辰野町の電気設備会社では今月初め、事務所裏に置いてあった重さ計約120キロ(時価約7万円相当)の銅線の切れ端が盗まれた。事務所の裏は、会社の前を通る道路からは見えない場所。初めての被害という経営者の男性(68)は「ある程度の量になったら業者に引き渡す予定だったのに」と憤る。

 同郡南箕輪村の電気設備会社は2~3月に計3回、駐車場や高所作業車に積んであった銅線を盗まれた。重さは計約120キロ。敷地内に袋に入れて置いてあった鉄くずは手付かずで、経営者の男性(59)は「値が張る太い銅線ばかり連続でやられた」と悔しがった。

 一方、南箕輪村役場によると、村内で3~4月に側溝などにかぶせる格子状のグレーチングが盗まれる被害が数件あった。

 伊那署によると、多くは夜間から早朝の犯行とみられ、一晩で数件の被害があったこともある。複数の犯行現場近くで車のタイヤ痕や足跡を採取しており、これを手掛かりに金属類買い取り業者らに聞き込みを行うなど、捜査を進めている。

 県資源回収事業協同組合(上田市)によると、銅1トン当たりの買い取り価格は2004年ごろに20~30万円だったが、北京五輪を契機とする需要拡大などで08年8月に100万円ほどに高騰、同11月には40万円程度に下落するなど大きく変動。その後、じわじわ上がり、現在80万円ほどという。鉄くず1トンの買い取り価格も同様に変動し、現在は3万5千円ほどになっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA