凍結「びわこ空港」基金 県、中小企業支援に転用へ

11月21日9時29分配信 京都新聞

 滋賀県が東近江市、日野町に計画し、現在は凍結されている「びわこ空港」建設のために設けた基金(11億円)のうち4億円が、県の新たな中小企業支援ファンドに転用されることが20日までに明らかになった。「空港と同様、経済振興に役立つ」ことを理由としているが、計画中止を明言していない状態での基金の転用には、地元から戸惑いの声も上がっている。
 基金は、「びわこ空港周辺整備基金」。県、滋賀、びわこの両銀行などが計6100万円を出資して1992年に設立した。運営する財団法人は今年6月の理事会で、県が新設する「しが新事業応援ファンド」に4億円を貸し付けることを決定した。地域産業支援の貸し付け事業をできるよう、定款も変更した。
 びわこ空港は、1988年に旧蒲生町(現東近江市)と日野町を予定地に整備計画を決めたが、周辺住民の反対や財政難などから2000年に凍結された。県や日野町の担当部課は廃止され、県基本構想にも盛り込まれていないが、県は「中止」を明言していない。
 同基金の転用について、日野町の藤沢直広町長は「出資元でないため金の使い方にまで関与しないが、空港整備計画の始末をつけるのが先だ。空港は、中止した新幹線新駅と並ぶ県の大型公共事業。方針を示してからにしてほしい」と話す。
 一方、同基金の事務局を担当する県企画調整課は「県財政が危機的な状況にあり、同じように経済振興に役立つので財団法人に協力をお願いして実現した。今後の組織や残金の在り方は財団法人が決めると判断している」としている。
 ■びわこ空港周辺整備基金 積立額は延べ約27億円で、県や市町の拠出金が約20億円、運用益が約6億円。空港予定地の日野町や旧蒲生町(現東近江市)が、反対集落を除き、道路や用排水路、集会所などの整備補助金として約16億円を使った。2000年の空港凍結以降は使われず、約11億円が残された。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA