12月19日10時4分配信 japan.internet.com
マンガや映画の世界で大活躍する「ロボット」は、すでに SF だけのものではない。現実世界でもロボットは、テレビや自動車を組み立てたり、産業の分野で人間の役に立っているだけではなく、一般家庭にも入り込み、「家庭用ロボット」という新たな市場を生み出した。
そんな中、ロボットベンチャー企業のテムザック、ビジネスデザイン研究所、ゼットエムピー、ヴィストンの4社は、家庭用ロボット市場の拡大で協力する組織「次世代ロボット市場創造連盟」も設立している。
そこで今回は、家庭用ロボットの最前線を追ってみよう。
■ロボットの歴史と基礎知識
ロボットはどのようにして生まれたのだろうか。また家庭用ロボットにはどのような種類があるのだろうか。簡単にまとめてみた。
●世界初のロボット、ロボットのはじめてをさぐる
ロボットとは、自動的に連続作業を行う機械、人に近い形や機能を持つ機械を指す言葉だ。
世界初のロボットは諸説あるが、紀元前8世紀にホメロス氏(※1)によって作られた叙事詩「イーリアス」に登場した黄金の召使いだといわれている。最初にロボットが登場した小説は、チェコスロヴァキア(※2)の小説家 カレル・チャペック氏が1921年に発表した戯曲「R.U.R.」(※3)。小説の中に登場した人造人間が今日のロボットの原型となり、世の中に広まったとされている。
※1:ホメーロス、ホーマーとも呼ばれる
※2:チェコとスロヴァキアは昔、ひとつの国家だった
※3:ロッサム・ユニバーサル・ロボットの略
●ロボットの語源
「ロボット」という言葉を作ったのはカレル・チャペック氏の兄で画家のヨゼフ・チャペック氏という説が有力だ。ちなみにロボットの語源は、チェコ語で「労働」を意味する「robota」とされている。
●日本初のロボット
日本初のロボットは1928年、ロボット学者の西村真琴氏による人間型ロボット「學天則(がくてんそく)」だ。「學天則」は右手にかぶら矢型のペン、左手に「霊感灯」と呼ばれるライトを持ち、ゴムチューブによる空気の力で腕を動かしたり表情を変えたりすることができた。全体の制御は、突起の付いた回転式ドラムによって行われていた。
●家庭用ロボットとは
家庭用ロボットとは、一般家庭に導入されるロボットの総称。娯楽向けの家庭用ロボットはエンターテイメントロボットとも言われる。
■家庭用ロボットの種類と特徴
家庭用ロボットは、パートナーロボットと癒し系ロボット、家事支援ロボットの3種類に大別される。それぞれの特徴について見てみよう。
●パートナーロボット
パートナーロボットは、人間の活動をサポートすることを目的に開発されたロボット。有名なロボットとしては、ホンダの「ASIMO」やトヨタの「パートナーロボット」があげられる。
ASIMO
「ASIMO」は近い将来、実際に人間の生活空間で活動することを想定し、本田技研工業により開発が行われているロボット。親しみやすいデザインを持ち、二足歩行で歩くことができる。名前は「Advanced Step in Innovative Mobility(新しい時代へ進化した革新的モビリティ)」を略したもので、手塚治虫氏のロボット漫画「鉄腕アトム」が開発のキッカケであったとされている。
・ASIMO オフィシャルサイト – 本田技研工業
トヨタ・パートナーロボット
「トヨタ・パートナーロボット」は「人間との共生」をテーマに開発が進められ、自動車を組み立てる産業用ロボットもパートナーロボットの分類に入る。トランペットを吹くロボットも開発されており、将来的には受付のアシスタントや車イスを動かす福祉業務などで人間をサポートしていくロボットの製造を目指している。
・パートナーロボット – トヨタ
●癒し系ロボット
人を楽しませるために設計されたロボット。「エンタテインメントロボット」「ペットロボット」とも呼ばれる。
AIBO
AIBO はソニーが開発した子犬やライオンの子などをモチーフにしたペットロボット。名前は「Artificial Intelligence roBOt」の略で、AI(人工知能)、EYE(目、視覚)そして「相棒(aiboh)」にちなんでいる。
AIBO は視覚・聴覚・触覚などのセンサーを備え、動くものを見分けたり、専用の赤いボールで遊ばせることができる。飼い主の声や手を叩いた音、頭などをなでると、それに応じた行動を起こす。また感情に相当する複雑なプログラムも備え、日々成長し、しつけ次第で飼い主の言うことを聞くロボット、聞かないロボットに成長する。
AIBO の製造は2006年に中止されたが、AIBO ユーザーによる活動は今でも続いている。
●家事支援ロボット
家事支援ロボットは文字通りに家事を手伝ってくれるロボット。
iRobot Roomba(ルンバ)
ルンバはアイロボット社が製造・販売するロボット掃除機。制御プログラムには、米国特許のロボット知能「AWARE」を採用する。
壁センサーや段差センサー、ゴミセンサーなど数十種のセンサーを通して得た情報から現在の部屋の状況を判断して動きを制御する。ルンバが備える「3段階クリーニングシステム」では、かきだす・かきこむ・吸いとるの3種類の掃除を同時に実行できる。
6本のエッジクリーニングブラシが側面から飛びだし、壁際や部屋のコーナーなど取りにくいゴミを前方にかきだす。絨毯では毎分1,000回転のメインブラシ、フローリングでは毎分1,600回転のフレキシブルブラシを主に使用して、ゴミを内部のダスト容器にかきこむ。最後に1mm 幅にまで狭くした吸引口がワイパーのように床面に密着して強力にゴミを吸い取る。
・iRobot Roomba(英文) – アイロボット
iRobot Scooba(スクーバ)
スクーバはアイロボットが開発したフローリングを磨くロボット。クロロックス社の漂白剤を使用しない洗浄剤を使い、ゴミを吸い取り洗浄液を噴出させ、床をこすり、汚れた洗浄液を吸い取ってくれる。木以外の材質であれば、堅くて水漏れのしない床面でも使用できるが、絨毯には使用できない。
・iRobot Scooba(英文) – アイロボット
iRobor Verro
ビローはプールの掃除ロボットだ。プールの汚れた水を吸い込み、フィルターで濾過して綺麗になった水を元のプールに戻してくれる。
・iRobor Verro – アイロボット
iRobot Looj
「Looj」は側溝を掃除するロボット。本体は防水製で、側溝にたまった落ち葉などの異物をはき出してくれる。
●家庭を守るロボットも登場
「TERA」は「ユーザーと一緒に生活するパートナーロボット」をコンセプトに開発が進められているタカラの AV ロボット。防犯機能を備えた貯金箱「TERA SECURITY」と AV 機器を合体させた「TEAR AV」、空気清浄機と掃除機を合体させた「TERA LIFE」の3種類がコナミ・タカラ新製品合同発表会にて参考出品された。
TERA SECURITY
カメラと赤外線センサーを備えた「子テラ」と呼ばれる子機と、子機から情報を得る TERA 本体(親テラ)からなる。子機が侵入者を感知すると親テラに通報し、子機は映像や音声を記録する。親テラをテレビに接続すれば、子テラの映像をテレビに映し出すこともできる。
TERA AV
液晶モニターとプロジェクター、テレビチューナー、DVD プレイヤーを備えた AV ロボット。プロジェクターを使うと、約20インチまでの映像投影ができる。音声認識機能も備え、「TERA AV」を声で操作することも可能。
TERA LIFE
空気清浄と健康管理の機能を備えた家庭用ロボット。赤外線の体温計やアルコールセンサーを備え、ユーザーの体調を測定できる。親テラは掃除機にもなり、子テラをテレビに接続すれば、親テラに内蔵されたカメラの映像を見ながら掃除ができる。
ちなみに「TERA」は「TAKARA ENTERTAINMENT ROBOT ARCHITECTURE(タカラ・エンターテイメント・ロボット・アーキテクチャー)」を略したもの。
家庭用ロボットは癒し系と掃除系のロボットが先行しているものの、パートナーロボットがより進化すれば、人間により近いロボットが登場してくる可能性も高い。メイドさんロボットが開発される日も、そう遠い未来の話ではなさそうだ。
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記事提供:IT ライフハック