ぼた山緑化に芝生育中 給水用ポンプ盗難 「子どもの楽しみ返して」 嘉麻市

嘉麻市下山田で、ぼた山跡地に植栽する芝の苗のかん水用ポンプなどが盗まれていたことが8日、分かった。跡地の緑化を進めている市民団体が明らかにした。苗の植え付けには地元の園児も参加しており、関係者は「子どもの笑顔を思い浮かべればこんなことはできないはず。1日も早く返してほしい」と訴えている。

 この団体は、花畑などを演出し、地域の活性化を目指すNPO法人「水土里農(みどりの)えにし」(溝口義智理事長)。盗まれたのは給水ポンプと200リットルの水が入る黄色の貯水タンク(計約5万円相当)。メンバーが7日正午ごろ、水をやりに訪れるとなくなっていたという。

 事業は、「子どもがはだしで走り回る場所を提供したい」と企画。市有地になっているぼた山跡地約1ヘクタールを無償で借り受けている。

 4月24日には、跡地の一画でなつき保育園(同市漆生)の園児や市民約90人が芝の苗を約30センチ四方のポット約千個に植え付けた。芝の生長を待って跡地に広く植栽する計画で、参加者が持ち帰って世話をしている分を除く約650個にメンバーがほぼ毎日、水やりをしていた。今回の盗難で、側溝から水をくみ上げることができなくなり、水道から取水して急場をしのいでいるが、水土里農えにしの溝口理事長(67)は「みんなの善意が泣いている。犯人を罰することは望んでいないので、子どもたちのためにも戻してほしい」と話している。

=2010/05/09付 西日本新聞朝刊=

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