金銅の鋲:折れ曲がったり焼けた30点出土 奈良時代の“もったいない” /奈良

6月24日17時1分配信 毎日新聞

 ◇再利用か
 奈良時代、平城京の宅地などが並んでいた奈良市大森町の溝跡から、金銅製の鋲(びょう)約30点が見つかった。正倉院宝物に使われているものとよく似たものも含まれていた。調査した同市埋蔵文化財調査センターによると、現在の画びょうのような形で、木製品の飾りや角の補強などに使われた。高級品の鋲などを再利用するための工房があった可能性があり、同時代のリサイクル事情を示す発見という。
 平城京「左京五条四坊十六坪」の西南隅の側溝跡から出土。数センチ程度の大きさで、折れ曲がったり焼けたものがあり、使わなくなった鋲を再利用するために集めていた可能性がある。正倉院宝物「黒柿両面厨子(くろがきのりょうめんずし)」などに使われているものとよく似た、6枚の花びら模様もあった。
 同センターの森下恵介所長は「奈良時代は、瓦など使える物は何でもリサイクルした時代。銅は貴重だったため、こんな小さな鋲でもとても重宝されたのだろう」と話している。【花澤茂人】

涼しげにハンゲショウ 白浜町十九渕

6月22日17時10分配信 紀伊民報

 和歌山県白浜町十九渕の側溝沿いの斜面でハンゲショウ(ドクダミ科)の葉が涼しげに白く色付き始め、通行人を楽しませている。
 ハンゲショウは水辺に生える多年草で、季節になると花に近い葉の半分が白色になる。夏至から11日目の新暦の7月2日ごろにあたる半夏生(はんげしょう)のころに白く変わることや、その様子が半分おしろいで化粧したように見えることなどが名前の由来になったという。
 近くで喫茶店を経営する小川昭造さん(67)は「紀南では珍しい自生地だが、すぐ近くが高速道路予定地になっている。移植も難しそうで、もし絶えてしまうと残念」と話している。
 7月中旬ごろまで見ごろという。

新日鉄、日本溶接協会賞で受賞

6月12日21時40分配信 レスポンス

新日本製鐵は、2008年度日本溶接協会賞で「技術賞」(開発奨励賞)と「溶接注目発明賞」を受賞した。賞は、日本溶接協会が、日本の溶接界に多大な貢献のあった技術を表彰するもので、11日に表彰式がおこなわれた。

技術賞(開発奨励賞)を受賞したのは「高耐食亜鉛めっき鋼板用タッチアップレス溶接材料の開発」。

同技術により商品化された溶接材料「FC309SD」(日鐵住金溶接工業)は、溶接部タッチアップ補修が省略できる効果に加えて、溶接部の耐久信頼性が向上すること、更には良好な溶接外観によって意匠性も向上することで、市場から高い評価を得、用途を広めつつある。

受賞したのは同社の児玉真二主任研究員、石田欽也研究員、浅井謙一マネージャー、日鐵住金溶接工業の長崎肇所長、日鐵住金溶接工業の水本学課長代理研究員。

溶接注目発明賞を受賞したのは「溶接ワイヤおよび溶接方法」。

同技術は、溶接部の割れなどの原因となる溶接部の残留応力を低減させる技術。同技術により開発された溶接材料として「SM10N」(日鐵住金溶接工業)があり、自動車分野、建機分野などの疲労問題解決に既に適用され、今後も適用拡大が期待される。

今回受賞したのは新日鉄の糟谷正主幹研究員、斉藤直樹主幹研究員、日鐵住金溶接工業の千葉利彦課長、日鐵テクノリサーチの小林順一所長。

《レスポンス 編集部》

クイナ輪禍多発 過去最悪のペース

6月19日10時45分配信 琉球新報

 環境省那覇自然環境事務所は18日、国頭村内で11日から16日までに、交通事故に遭ったとみられるヤンバルクイナの死骸(しがい)が相次いで発見されたと発表した。今年に入って事故は17件、うちクイナが死んだ事故が13件で、過去最悪のペースで増え続けている。
 死骸は11日と15日に国頭村安田、16日に同村謝敷でいずれも県道2号の路上で発見された。またけがを負ったクイナが12日、辺野喜の伊江林道側溝内で救護され、その後死んだのが確認された。16日には事故でけがをしたとみられるクイナも発見された。
 環境省やんばる野生生物保護センター自然保護官の福地壮太さんは「事故が相次いだ期間は、雨が続き道路の見通しも悪くなっていた」と事故要因を分析。センターでは、クイナが頻繁に目撃される地点などに、運転者への注意喚起のための看板を設置し通行車両へ減速を呼び掛けている。

豪雨:宇治など浸水被害 /京都

6月17日16時0分配信 毎日新聞

 宇治市や城陽市を中心にした地域で16日夕、非常に強い雨が降った。上空に強い寒気が流れ込み、大気の状態が不安定になったためで、各地で床上・床下浸水などの被害が出た。
 宇治市では午後4時過ぎから雷とともに、ひょうが混じった激しい雨が降り始めた。約2時間後には雨はやんだが、宇治市によると、うじ安心館屋上で1時間雨量77ミリを観測した。
 各自治体によると、被害は宇治市が羽拍子町や伊勢田町などで床上浸水26棟と床下浸水240棟、城陽市が平川で床下浸水13棟。宇治田原町が床下浸水2棟。また、宇治市では落雷で170軒が一時停電した。
 各地の道路は、側溝や川から水があふれて冠水し、府道宇治木屋線(宇治田原町)や府道大津南郷宇治線(同町、宇治市)の計3カ所で土砂崩れが発生し、一時片側通行規制が取られた。【藤田健志、玉置勝巳】

住民自ら道路を「普請」 栃木・那須町が現物支給

6月11日8時0分配信 産経新聞

 那須町は7月から、原材料を地域住民に提供し、道路の補修などをしてもらう「ふるさと道普請事業」をスタートする。

 事業は、町と町民が協働でスリムなまちづくりを目指そうと企画された。

 希望する自治会は町に支給申請を行い、認められれば、50万円相当額を限度に道路補修や側溝整備に必要な原材料が支給される。原則、対象は町道となり、延長50メートル以上で3戸以上の世帯があり、生活道路として利用している関係者の同意が得られていることなどが条件。今年度は300万円を予算化した。

 現在、町の道路維持費は年間約2千万円で道普請事業により、「道路維持費の削減につながる」(町建設課)とみられる。

 町は「地域住民が自分たちの通行する町道を自らの手で整備することにより、愛着をもち地域のきずなも深まるものと期待している」と話している。

創作アップリケ展:古い布で独特の味わい 愛知・豊田の福山さん、四日市で /三重

6月8日12時1分配信 毎日新聞

 ◇故郷の四日市で
 四日市市出身の愛知県豊田市、主婦、福山(旧姓・周本)和子さん(64)が、古い布を使った創作アップリケ展を四日市市東日野町の喫茶店「珈琲倶楽部(コーヒーくらぶ)・長(ちょう)の字」で開いている。着物や布団の生地をリサイクルした作品には、人に触れ合ってきた布だからこそ持ち得た趣が感じられ、ふるさとの人々の気分を和ませている。
 福山さんは9年前、豊田市のアップリケ趣味グループに参加。映画館の絵看板描きだった夫の照俊さん(65)のアドバイスもあり、めきめきと腕前を上げた。全国手芸コンクールなどでもたびたび入賞している。
 花のデザインが得意で、入手した布の色や柄からイメージを膨らませ、描く花を決める。実際の花をデッサンした後、布を切り取って下布に縫い付ける。何枚も重ねて微妙な色合いを表現しており、実用的なアップリケとは異なる独特の味わいを生んでいる。
 今回は、兄から同店を紹介され、初の個展が実現した。側溝に咲いたスミレをデザインした「春の野の花」など、約40作品を、途中入れ替えながら展示。「創作アップリケは三河地方で盛ん。ふるさとでも多くの人たちに楽しんでもらいたい」と話している。
 30日まで。金曜と13、27日は休み。【井上章】
〔三重版〕

側溝ふた窃盗容疑で男ら送検 千葉県警

6月6日8時2分配信 産経新聞

 金属製の側溝のふた(グレーチング)を盗んだとして、千葉県警捜査3課などは5日までに、窃盗の疑いで、東金市田間の自称・電気工、高貫正和容疑者(27)=別の窃盗罪で起訴=ら3人の男を逮捕、千葉地検に送検した。他に逮捕、送検されたのは、いすみ市岬町押日の暴力団組員、市川洋介容疑者(27)、茂原市の介護士の少年(19)。同課によると、高貫容疑者らは「グレーチングは鉄くず業者に売った」と供述しているという。

 同課の調べでは、高貫容疑者らは平成20年7月5日昼ごろ、いすみ市内の会社敷地内で、グレーチング11枚と鉄板3枚(計約19万円相当)を盗んだ疑いがもたれている。19年10月以降、外房地域などで同様の盗難が多発しており、同課などは裏付け捜査を進めている。

横浜開港記念日に「象の鼻パーク」が公園としてオープン

6月2日22時2分配信 ヨコハマ経済新聞

 横浜開港150周年に合わせて整備していた横浜港発祥の地「象の鼻パーク」のオープニング式典が6月2日に行われた。

 式典では、横浜市歌が斉唱され、中田宏横浜市長が「『象の鼻パーク』は150年前に開港した、横浜発祥の地ともいえる場所。これからはぜひ、未来を担う子どもたちにパークの名前の由来と意味を伝えていってほしい」と語った。

 オープンを記念して、NPO法人横浜シティガイド協会による「象の鼻パークガイドツアー」や、フォークデュオ「N.U.」や横浜市消防音楽隊によるステージイベントなどが行われた。

 「象の鼻」オープンと同時に、敷地内に設けられた施設「象の鼻テラス」では、横浜の創造的文化の原点である港と街の歴史に焦点をあてた「みなとの歴史展」、黒船が立体的に浮かび上がるトリックアートや日比野克彦アートプロデューサーによる灯台アートが展示される。

 関連イベントとして、同パークの開港の丘ステージで、アーティスト・キャロル山崎さんらが出演するトワイライトコンサート(6月3日~5日)、サンバや中国獅子舞など国際色豊かなステージイベント(6月6日、7日)、米海軍・第7艦隊音楽隊などによる日本大通りから象の鼻パークにかけたパレード(6月6日)が開催される。

 「象の鼻地区」は、大さん橋国際客船ターミナルのつけねからのびる防波堤の周辺地区で、みなとみらい21地区から山下公園を結ぶ水際線と日本大通りや大さん橋との接点となるエリア。面積は約4ヘクタール。防波堤を上から見ると象の鼻に似ていることから名付けられた。

 敷地内には、展示機能を備えた多目的レストハウス「象の鼻テラス」、野外ステージを併設した解放的な「開港の丘」、日本大通りから港を見渡せる「開港波止場」、横浜港が目の前に広がるビューポイント「象の鼻防波堤」、昼はモニュメント、夜は夜景を演出する「スクリーンパネル」を設置。工事中に発見された明治時代の貨物線の軌道を変えるターンテーブルの遺構や開港初期の石積み防波堤の跡などを見ることができる。

 同パークは「横浜の歴史と未来をつなぐ象徴的な空間~時の港~」という理念のもと整備された。設計者選定は、横浜開港150周年記念事業で「チャンスあふれるまち」元気な横浜を創造する人材育成に向けた取り組みとして、開港100周年(1959年)以降に生まれた若手建築家とし、横浜市在住の小泉雅生さんが選ばれた。小泉さんは「象の鼻地区」の計画にあたり、「みなと横浜の原点」を可視化する大きな風景をイメージし、FRPグレーチング製のパネルを並べた大きな光のサークルにしたという。

支局長からの手紙:運をつかむ /愛媛

6月1日13時1分配信 毎日新聞

 「オリンピックで優勝するには何が必要かわかりますか」。愛媛大教育学部の堺賢治教授に質問されました。答えに窮したのを見て堺教授は断言しました。「運をつかむことです」
 前回、この欄で取り上げた総合型地域スポーツクラブの取材をした時のことです。国立大で全国初となる同クラブを愛媛大に設立するにあたり、鹿児島県・鹿屋体育大の田口信教教授が記念講演をしました。現在の西条市出身の田口教授はその中で、五輪で優勝するには「運」が大切と説きました。質問は講演の内容に基づいています。堺教授に詳しく聞きました。
 田口教授は鹿屋体大で、柴田亜衣選手が所属する水泳部の顧問の立場にありました。柴田選手は4年生だった04年、アテネ五輪の競泳女子八百メートル自由形で金メダルを獲得しました。競泳日本女子の自由形として初の金メダルの快挙です。田口教授は「神様が運をくれた」と思い当たりました。
 柴田選手は五輪前、「体が壊れる可能性もある」と水泳部監督が振り返ったほどの厳しい練習をこなしました。しかし、それだけではありません。普段の生活では、水泳部の飲み会で仲間の不始末を片づけたり、命じられたわけではないのにトイレ掃除を続けていました。国内トップレベルの選手でありながら、率先して下働きをする姿を田口教授は見ていました。金メダルを取ってからもおごることなく、柴田選手の姿勢は変わらなかったといいます。
 田口教授が「運」を感じたのは、自らの体験に根差しています。高校在学中の1968年にメキシコ五輪に初出場し、競泳男子百メートル平泳ぎで泳法違反のため失格となりました。次の大会での金メダルを目指して猛練習するだけではなく、神頼みをしました。
 どうすれば願いはかなうのか。神様が望ましいと思うことを実践することではないか。そう考え、人の世話をしたり役に立つよう心掛けました。どんなに練習で疲れていても授業中、一度も居眠りはしませんでした。電車では決して座らずお年寄りに席を譲り、積極的に人の嫌がるトイレ掃除などもしました。
 同じ種目で出た72年のミュンヘン五輪で念願の金メダリストになりました。田口教授は「神様は僕に運をくれた」と実感しました。だから柴田選手が優勝したのも「神様の喜ぶことを自然にしてきたから」と評するのです。
 講演の内容を教わり、脈絡ないことを思い浮かべました。趣味のランニングの練習で松山市の中心部を走っていると、始業前にグループで歩道などの掃除をしている会社員や高校生を見かけます。ポリ袋を手にたばこの吸い殻などを拾いながら散歩をしている人もいます。思い浮かべたのは、そうした人たちのことです。感心しているだけでは申し訳なく、私も支局前を掃除するようになりました。側溝の近くや歩道上、街路樹の根元などの吸い殻などは絶えることなく、気持ちがついぎすぎすします。松山市では、罰則のある路上喫煙禁止条例の制定を求める動きも起きています。
 吸い殻を拾いながら運を拾おうとしているのかもしれない。吸い殻と一緒に運も捨てているのではないですか。気持ちをそう向けて掃除をしていると、心に少し余裕ができます。金メダルと歩道の掃除では目的が違うけれど、どのように運をつかむのかという点で通じるものがありそうです。
 「運」とか「神様」とか、荒唐無稽(こうとうむけい)に過ぎますか。田口教授の話をよくわかる気になっているのは、「お天道(てんとう)さまが見てるよ」と言われて育ち、今もどこかで戒めとしているからでしょうか。【松山支局長・小泉健一】
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