加賀市 競技場計画見直し

◆市民生活支援を優先◆ 

 加賀市の寺前秀一市長は18日、同市山田町の市中央公園にサッカー場を新設する計画の規模と工事時期を見直し、今年度予算に計上されていた用地買収費7500万円などを市民病院の医療機器更新や消防本部の化学防護服購入などに充てることを明らかにした。25日開会の臨時市議会で提案する一般会計補正予算案に予算減額などを計上する。

 同市のサッカー場整備事業は、大幸甚・前市長在任中の08年に中央公園の北側隣接地に天然芝張りのサッカーグラウンド2面を整備する方針が決定。12年5月の供用開始を目指し、今年度中に5・4ヘクタールの用地を買収する予定だった。総事業費は約3億円を見込み、財源のほとんどは米軍の一部訓練を航空自衛隊小松基地(小松市)に移転することに伴う国からの米軍再編交付金(07年から10年間で総額約12億8700万円)で賄う計画だった。

 しかし、昨年6月の市議会で用地費を計上した補正予算案が可決した際も「市民の理解が得られるまで予算執行を自重すべきだ」との付帯決議が可決されるなど、大幸前市長に批判的だった市議らを中心に慎重論が根強かった。

 今回の予算補正では、用地費7500万円と測量費などの一部、計8千万円余りが減額され、医療機器や化学防護服の購入、市内3地区の側溝整備などに充てられる。

 寺前市長は「計画の白紙化まで考えているわけではないが、政策の優先順位の問題。今後、サッカー場の規模と整備時期について、議会と再検討したい」と話している。

阪神大震災15年忘れるな

阪神・淡路大震災から17日で15年。「防災とボランティア週間」(15~21日)を前に、京都府亀岡市荒塚町の亀岡消防署で14日、地震でがれきに生き埋めになった住民を救助する災害対応訓練が行われ、万一の災害に備えた。

 訓練は午前10時に亀岡市を震源とする震度6弱の地震が発生したとの想定。亀岡消防署庁舎内で緊急招集がかかり、消防隊員らが集合。庁舎裏の側溝にマットをかぶせて再現したがれきの山へ棒状のカメラを入れ、油圧器具や余震感知器を使いながら「痛い所はないですか」「安心して下さい」と声をかけて、被災者に見立てた砂人形を搬出した。

 約30分の訓練後、森滋夫署長が「大震災時に現場で活動した隊員は若手に経験を伝えてほしい。南海・東南海地震では現場へ赴くことを肝に銘じて」と訓示した。

 各消防署では防災期間中、市民向けのイベントを企画している。

 亀岡消防署は16日午前10時からガレリアかめおか(同市余部町)で「防災フェア」を実施する。大震災時の被災状況を写真パネルで紹介し、家具固定や食料備蓄などに関する相談も受け付ける。

 園部消防署は15日午後2時半から衣料品店「ダイコー」(南丹市園部町上木崎町)で地震の揺れを体験できる車両を置き、防災物品などを展示する。

強風けが人相次ぐ

西高東低の強い冬型の気圧配置となった13日、県内全域で強風、風雪注意報が出た。前橋地方気象台によると、館林市で午前10時20分頃に最大瞬間風速22・6メートルを記録するなど、各地で強風による影響が相次いだ。

 県危機管理室などのまとめによると、午前9時30分頃、高崎市乗附町の住宅建設現場で、高さ約3メートルの足場で作業をしていた50歳代の男性が強風にあおられて地上に落ち、左足を骨折した。そのほか、同市内ではいずれも午前中に80歳代の男女が自転車走行中に転倒したり、散歩中に側溝に落ちたりして軽傷を負った。

 前橋市青梨子町では午前10時半頃、鉄骨トタンぶき車庫(高さ3メートル、奥行き4メートル、幅5メートル)が強風で倒れ、市道をふさいだ。同じ敷地にある住宅には男性が一人暮らしをしているが、被害当時は不在で、通行人もいなかったためけが人はなかった。車庫は約3時間後に解体されたが、近くに住む松下広保さん(72)は「経験したことがないほどの強風が吹いていた。まさか路上に車庫があるなんて」と驚いていた。

 高崎市内では民家のトタン屋根がはがれたり、ゲートボール場のトタン造りの簡易型休憩所(床面積12平方メートル)が約50メートル飛ばされたが、いずれもけが人はいなかった。

 前橋市後閑町では午後2時10分頃、電柱の電線が切れ、周辺の約70世帯で停電があった。約35分後に復旧したが、東京電力前橋支社は「詳しい断線の原因はわからない」としている。

 近くの同市宮地町では信号機1機も停電し、駆けつけた前橋東署員が約30分間、手動で交通整理をした。

 また午前10時55分頃、埼玉県熊谷市のJR高崎線籠原―上野駅間の架線に、強風で飛ばされた農業用ビニールが絡まった。JR東日本高崎支社によると、このトラブルで上野―高崎駅間の上下4本が運休、同10本が最大40分遅れ、約9000人に影響が出た。

(2010年1月14日 読売新聞)

「配り終わらなくて」郵便物をゴミ箱に捨てる 元アルバイト配達員を逮捕

郵便物を配らずに捨てたとして、警視庁高尾署は、郵便法違反の疑いで、東京都八王子市緑町の元アルバイト配達員、川田大祐容疑者(25)=懲戒解雇=を逮捕した。同署によると、川田容疑者は容疑を認め、「いつも時間内に配達が終わらず、残った郵便物を持ち帰ると上司や先輩に怒られるので安易に捨ててしまった」と話している。

 逮捕容疑は、昨年11月30日、同市下恩方町の賃貸アパートのふた付きごみ箱に、配達を担当するはがきや封書計237通を捨てたとしている。

 同署によると、同月25日に、川田容疑者が勤務する八王子西郵便局に、通行人から「道路の側溝に郵便物が落ちている」と通報があった。内部調査に対して、川田容疑者が「30日にも捨てた」と供述したという。 川田容疑者は「他にも数回捨てた」と話しており、同署が調べている。

民家に犬60匹、近所とトラブル 飼い主、殴られけがも

福岡県直方市の民家で60匹の犬が飼われ、鳴き声や悪臭が近所とトラブルになっている。今月になって飼育法をめぐり傷害事件まで起きた。苦情を受けた県は約6年前から、飼い主の30代男性に動物愛護法などに基づいて適正に飼育するように口頭で指導を繰り返してきたが、勧告や警察への告発まではしていなかった。

 事件は12月18日に起きた。狭い路地を挟んで隣に住む無職男性(73)が、自宅前の路上にいた飼い主の頭を鉄の棒で殴り、軽傷を負わせた傷害の疑いで、直方署員に緊急逮捕された。男性は朝日新聞記者と接見し、「殴ってしまったのは申し訳なかった」としながらも、「昼夜を問わない犬の鳴き声を何とかしてほしいと何度も訴えたが、聞いてくれなかった」と話した。

 容疑者男性は、隣家の犬の鳴き声対策で、約8年前から数十万円をかけて家の防音工事を行ってきたが、半年ほど前からは睡眠薬なしでは眠れなくなったと主張している。

 飼い主方の敷地は約700平方メートル。記者が実際に訪れると、敷地の周囲を取り巻くさくの内側や、庭に設置されたおりの中にいる犬が一斉にほえ始めた。室内からは無数の小型犬の鳴き声が聞こえ、シャッターの下りた車庫の中からも声が漏れていた。近所の住民によると、ピレネーやドゴ・アルヘンティーノ、ミニチュアダックスなど、10種類を超える犬がいるという。

 周辺には犬の排泄(はいせつ)物によると思われる悪臭が漂っていたが、地元の自治区長(57)によると、「飼い主方の排水溝から流れ込んだ汚物のにおいが側溝から出ている」のだといい、鳴き声とともに悪臭についても住民間で苦情が出ている。飼い主に対し、2年前にも注意したが、対策は講じられなかったという。
県嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所(同県飯塚市)によると、2003年12月に住民から「鳴き声がうるさい」「汚物が側溝に垂れ流しになっている」などの苦情が寄せられるようになり、動物愛護法や県動物条例に基づき、07年6月までに計8回、飼い主に口頭で改善を指導した。

 指導で改善されない場合、文書による厳重注意や勧告、警察への告発もできるが、そこまではしていなかった。この飼い主への苦情は計10件だが、昨年度以降は2件で、担当者は「苦情が少なかったため、指導にとどめた」と説明している。

 傷害事件の被害者となった飼い主は事件後、同事務所などの聴取に対して、60匹のうち33匹が自分の飼い犬で、1匹も狂犬病の予防注射を受けていないことも認めた。残りの27匹は預かり犬などで、予防注射の有無は不明という。その後、5匹に予防接種を受けさせ、今後も月に5~6匹ずつ受けさせることを直方市と約束。同事務所は「適正な頭数になるよう、今後も指導を続けたい」としている。

 飼い主は28日、朝日新聞の取材に対し、「話すことはない。改善はする」と話した。(中野浩至)

窓ガラス破損:2日間で70枚割られる 千葉・船橋の高校

7日午前3時5分ごろ、千葉県船橋市豊富町の県立船橋豊富高校(松本透校長、生徒数563人)で、巡回中の警備員から「校舎の窓ガラスが割られている」と110番があった。県警船橋東署員が駆けつけると、校舎南側の窓ガラスや教室の引き戸のガラスなど計20枚が割られていた。同高では6日も校舎北側の窓ガラス計約50枚が割られ、教室内に側溝のふたが投げ入れられていた。同署は器物損壊事件として調べている。

 同署によると、7日の被害は、屋外から約3センチの小石を投げ込んで窓ガラス2枚を割り、鍵を外して校舎内に侵入。1、2階の教室の引き戸のガラス18枚も割られていた。校舎内を土足で歩いた跡があった。同高は7日に3学期の始業式を迎えた。【駒木智一】

カスミサンショウウオ産卵 「アクア・トトぎふ」が成功

各務原市川島笠田町の県世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」が先月末、岐阜市産のカスミサンショウウオの産卵に成功した。岐阜市指定の貴重種で同館では2007年3月から保護の一環で飼育し、繁殖は初めて。

 主に西日本に生息するカスミサンショウウオは体長7~13センチで、県内の生息域は岐阜市、揖斐川町の2カ所のみとされる。環境省は絶滅危惧(きぐ)2類、県は1類に指定。岐阜市は条例で無許可の捕獲を禁じている。

 ふだんは山の落ち葉や腐葉土の下に隠れ、春先の繁殖期に止水で産卵するが、岐阜市内の繁殖地は駐車場を囲むコンクリート製のU字形の側溝内。不安定な環境で渇水や共食いなども懸念され、同館と岐阜高校自然科学部が保護目的に卵や幼生の飼育、放流を続けている。
 産卵したのは最初に保護した卵のうから育った個体。先月29日、黒っぽい卵が約40個入った直径5センチほどの卵のう1対を生んだ。通常の産卵期より3カ月早いが、水温や気温の変化を自然界に近づけたことが功を奏したという。

 同館4階で展示しており、1カ月ほどで幼生になり、3年で成体になる見込み。飼育担当の田上正隆さん(31)は「いつ絶滅してもおかしくなく、地域特有の遺伝子を守るための『再生産』につながる。今後も域外保全の形で種を守りたい」と話している。

 (久下悠一郎)

延岡市:99人を臨時雇用 /宮崎

延岡市は24日、99人を臨時職員として雇う臨時雇用対策事業を発表した。昨年に続き2回目。時期は来年1~3月。

 林道の清掃や側溝の土砂除去(1230万円、38人)▽旧高千穂線鉄道跡地の除草(165万円、4人)など。日当は6000円。市の直接雇用が50人、委託雇用は49人。ハローワークなどを通じて募集している。

出産直後の乳児死亡、側溝放置疑い32歳母聴取へ

23日午前11時40分頃、福岡県直方市知古のクリーニング工場の敷地内で、コンクリート製の側溝(幅、深さとも23センチ)に生まれたばかりの裸の乳児が放置されているのを男性従業員(34)が見つけ、110番した。乳児は搬送先の病院で間もなく死亡した。母親(32)が「自分で捨てた」と話しており、県警直方署は保護責任者遺棄致死などの疑いで調べている。

 発表によると、母親は工場従業員。乳児は男の子で目立った外傷はなかったという。母親は同日午前8時に出勤して約1時間後、「トイレで出血した」と言い残して退社した。

 トイレには血痕があり、同署はここで出産した直後に乳児を捨てたとみている。同署は母親の回復を待って詳しく事情を聞く方針。

(2009年12月24日 読売新聞)

北総の森発 自然観察会

11月末、市川市の大町公園自然観察園。船橋市小室町の小室公民館が募った自然観察会「北総線の小さな旅」の参加者26人が晩秋の杜(もり)を歩いた。

 「ツタは下から、紅葉は上から赤くなる」「『ガァガァ』鳴くのが雑木林のハシボソガラス。『カァカァ』鳴く銀座のカラスはハシブト」……。散策路を歩きながら、自然観察指導員、平栗瑞枝さん(66)が繰り出す解説に時折、笑いも起きる。同公民館が1997年から年3回主催する旅だ。平栗さんが案内役を務めて39回。北総線の京成高砂駅(東京都葛飾区)―印旛日本医大駅(印旛村)の雑木林や湿地などを歩いてきた。

 エノキやケヤキなどまっすぐに伸びた立ち木に交じり、曲がりくねったイヌシデの木を見つけた。「建築材に使いにくいから、昔の人は侮蔑(ぶ・べつ)的に呼んだのね」

 小池維世子さん(78)は発足時から参加。地域に住んで50年ほどだが、仕事や子育てに追われた。参加した観察会で「身の回りにこんなに豊かな自然があったと気づかされた」。身近な植物のエピソードは家で小学生のひ孫に披露する。同公民館では安全のため、観察会の前に職員と市民が歩く。職員の花井隆男さん(57)は「北総の豊かさを実感する」という。

 樹木は環境のセンサー

01年発足した「北総の森・巨樹・古木研究会」(会員96人)も一帯の自然をいとおしむ。

 平栗さんも会員だ。育ちにくい樹種を除き、地上1・3メートルでの幹周りが3メートル以上が「巨木」。5メートル以上だと「巨樹」と呼ばれる。ケヤキやスダジイ、カヤ、クスノキ……。市内の立ち木169本を調べて05年、カラーの「ふなばし巨木・名木マップ」(船橋市緑の基金発行)をつくった。19本追加して、第2版(07年)も。

 研究会では「森は生物の主人公。巨樹巨木から学び、人間社会と共存する生態系豊かな森の再生と保全」という目的を掲げる。

 幹事・相談役の川井洋基さん(66)は樹木医だ。「樹木に寿命はなく、環境のセンサー(感知器)だ。人間の衣食住から生命にもかかわっているのに、人間は植物に生かされていることを忘れがちだ」と活動の意義を話す。

 今年は、印西市の小林地区や柏市の布施弁天一帯などを訪ね、新宿御苑で庭園美も楽しんだ。

 新年2月には「柏井・奉免の巨木」(市川市)に足を運ぶ。

 森の一本一本 生きる仲間だ

 平栗さんは静岡や長野などで育ち、中学生時代に買ってもらった図鑑で植物に親しみ、高校時代は生物部員。船橋市に住んでからも周辺の植生観察を続けた。地元公民館利用者の懇親会で訪れた自然公園で解説したのが目にとまり、同市内の各公民館講座を引き受けるようになった。08年度は10公民館で計22回。日本自然保護協会の自然観察指導員だ。

 漢字表記にもこだわる。効き目が早いとされる薬草、ゲンノショウコは「現の証拠」。別名のミコシグサは「神輿(み・こし)草」。種の形が神輿に似ているからだという。「漢字だと植物の由来を覚えやすい」

 北総線沿線も宅地化など開発が進む。平栗さんは「側溝がコンクリートになったり、畑で農薬が使われたりしてドジョウやカエルが減った。エサにするヘビも減った」と環境保全の大切さを話す。

 木々に触れながら、森への視線が変わってくる。一本一本に人生があり、同じ地球に生きる仲間ではないかと。(吉井亨)